アイアンクラッド
ヒロインがダメすぎるのが残念だけど、城をめぐっての戦闘描写は一見の価値アリ。![]() |
原題/IRONCLAD
監督/ジョナサン・イングリッシュ
音楽/ローン・バルフェ
あらすじ
13世紀、イングランド。史上最悪の王と言われたジョン王は、王の権力を制限する大憲章(マグナカルタ)に署名させられた。怒り狂ったジョン王は大憲章を無効にし、権力を取り戻すために傭兵を引き連れ、進軍する。
オルバニー卿はジョン王を阻止するため、十字軍の騎士マーシャルをはじめとする腕っぷしの強い連中を集め、ロチェスター城に向かう。
しかし、1000人もの軍勢を率いるジョン王に対し、オルバニー卿側の戦力は20人足らずだった。
ロチェスター城をめぐる20人VS1000人の攻防戦がはじまろうとしていた。

※ 画像はDVDの特典映像より引用
出演
ジェームズ・ピュアフォイ=マーシャル(トーマス)
ブライアン・コックス=オルバニー卿
ケイト・マーラ=イザベル
ポール・ジアマッティ=ジョン王
デレク・ジャコビ=コンヒル(城主)、ジェイソン・フレミング=ベケット
感想
13世紀に実際に起こった、ロチェスター城をめぐる戦いを元にした映画です。時系列としては2010年に公開された映画「ロビン・フッド」の少し後の話ですね。リアル指向で製作されたのか、ハリウッド映画のような目を引くような派手さこそありませんでしたが、攻城戦の描写がとても丁寧で、それだけで退屈せずに楽しめました。


例)
投石機で城壁に攻撃する、城壁にはしごをかけ侵入を試みる、城の守りが固いと分かると兵糧攻めに切り替える、地下道を掘って城内に爆薬を仕掛けるなど。
人間同士のアクションも少人数の味方がひたすら無双する・・・ではなく、必死に戦う中、味方がバタバタと死んでいくのが悲壮感があって良かったです。
空腹のあまりゴキブリのような見た目の気持ち悪い虫を食べるところや、傷口が破傷風にならないように熱した刃物で消毒する描写。拷問で生きたまま四肢を切断され、そのまま石弓(投石機のようなもの)で城壁に投げつけられるという、思わず目を覆いたくなるようなゴア描写もありました。
私はグロやゴア描写にはそこそこ耐性があるのですが、さすがにこれはけっこうキツかったです。
主人公のマーシャルは十字軍の騎士だけあり個人としてはかなり強いものの、「戦争においては一個人の武勇なんてたかが知れている」というのが上手く描かれていました。普通に苦戦するし普通に死にそうになったりするので、ハラハラしながら見ることができました。

と思いきや、ときには敵を文字通り一刀両断するギャグみたいなシーンもw
悪役のジョン王を演じたポール・ジアマッティの演技も素晴らしかったです。見ているこちらまで腹が立ってくるほどの、清々しいまでの外道っぷりでした。

この人、シューテム・アップという映画でも悪役がハマっていました。
と、ここまでだとこの映画はかなり面白いのですが、ヒロインの女性イザベラが本作の良いところをすべて台無しにするくらいウザいんですよ。
何がダメなのかって言うとこのヒロイン、自分が既婚者であるにもかかわらず、「主人公のことが好み、旦那が自分に興味がない」という理由だけで、ことあるごとに主人公を誘惑してくるんですよ。
生きるか死ぬかの戦いをしている中、ひとりだけ空気を読まずに眠たい声で「ねえセクスしよ、あたしとセ○クスしよ」と迫ってくるわけです。
で結局主人公は誘惑に負け、ヒロインと一夜を共にする⇒その翌朝に防備の隙を突かれ、城壁が破られる⇒多くの味方が犠牲になるとかもうね・・。

以上、良いところはたくさんあるのに、たった1つ致命的にダメなところがあるせいですべてが台無しになっている、もったいない映画です。グロ描写が多いのも人におすすめしづらいところ。
最終的に生き残ったのが個人的に思い入れのないキャラばかりで、気に入っていたキャラがことごとく死亡したのもキツかったです。
とはいえ、丁寧かつリアルに描かれた戦闘シーンは一見の価値がありますので、機会があればぜひ一度。
余談ですが、城をめぐっての戦闘描写は映画「キングダム・オブ・ヘブン」や「墨攻(ぼっこう)」あたりと雰囲気が近いかなと感じました。
作品オススメ度 ランク外・好みが分かれる・バカ
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印象に残ったシーン
終盤でベケット(味方)とオルバニー卿に雇われてついてきたコテラルのベ「いくらで雇われた?」コ「5シリングだ」ベ「いい働きだ」というやり取りが格好良かったです。ヒロインのウザさ
男の私からすれば「戦時中なのに頭の中は恋愛脳」なヒロインの女性イザベラの言動がことごとくウザかったのですが、こういう人って女性からするとどうなんでしょう?大半の女性はウザいと感じるんじゃないかと思う(そうであって欲しい)んですけど、どうなんでしょう?ちょっと気になりました。
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