ホラー映画「呪怨1、2(ビデオ版)」をまとめてレビュー
「伽椰子(かやこ)&白塗りブリーフ小僧」がやりすぎ&無敵すぎワロタ
伽椰子「小林クンをドーン」
伽椰子の階段おりで有名な「呪怨」は、井戸の貞子ことリングと並んで和製ホラーの一大ブームを築き上げた映画ですね。
この「呪怨」シリーズは、1999年に公開されたビデオオリジナル版(2作品)と2003年に公開された劇場版(2作品)があります。⇒劇場版のレビュー(1、2)
日本で好評だったからなのか、2004年にはアメリカで「THE JUON 呪怨(The Grudge)」としてリメイクもされました。2006年には、続編にあたる「呪怨 パンデミック(The Grudge2)」まで製作されました。
外伝的な作品として「呪怨 白い老女」や「呪怨 黒い少女」などもあります。(2009年に公開)
さて、今回はそんなバリエーション豊かな「呪怨」シリーズの中でも原点であり、最怖と名高い、ビデオオリジナル版の2作品をレビューしていきたいと思います。「何か怖い映画を見たい!」なんて人の参考になれれば嬉しいです。
⇒関連記事:「呪怨」シリーズの一覧を公開順にまとめ
呪怨とは
つよい怨みを抱いて死んだモノの呪い。それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。その呪いに触れたモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。
ー本編字幕より引用ー
1作目:呪怨1
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監督・脚本/清水崇
音楽/ゲイリー芦屋
あらすじ
小学校教師の小林俊介は学校に来ない生徒・佐伯俊雄の家を訪ねる。
佐伯家には俊雄しかいなかった。佐伯家は異常なくらいに散らかっており、何やらただならぬ気配が漂っていた。俊介は俊雄と一緒に彼の母・伽椰子の帰りを待つことにするが・・。

後の全身白塗りブリーフ小僧である。
レビュー
オムニバス形式っていうんですかね。登場人物は小林俊介以外にもたくさんいて、みんなそれぞれに佐伯親子(伽椰子&俊雄)の襲撃に合います。
どのエピソードも時系列がバラバラのため頭がこんがらがりそうになるんですけど、よーく見ると他の話とつながっていたりして、最後まで飽きることなく楽しめました。
で、肝心の怖さなんですけど、「和製ホラーの不気味な怖さ」と「洋画によくあるビックリ系の怖さ」がいい感じにマッチしていました。
和製ホラーの不気味な怖さっていうのは、「すぐ近くに得体の知れない何かがいる!」という不気味な感じとでもいうのでしょうか。

その中でも、「村上家のエピソードで母・村上典子が自宅で電話をしている後ろでとあるモノが一瞬だけ映る」というシーンがあるんですけど、そのシーンでのとあるモノの映し方が上手だなあと感じました。
さりげないというか自然というか、人の恐怖をかき立てる映像の見せ方がバツグンに上手いんですよね。そして、その直後の典子の壮絶な叫びは必見です。典子役の女優・吉行由実さんの演技がスゴいです。
その他には、終盤で伽椰子の夫・剛雄が電話で小林に言うセリフがめっちゃ怖かったです。「死んだ人間よりも生きている人間のほうがよっぽど怖い」という感じですね。
洋画によくあるビックリ系の怖さっていうのは、パラノーマル・アクティビティのラストシーンのように、私たち視聴者を真正面から怖がらせにかかってくるやつです。本作でいうと「伽椰子の階段おりや俊雄の猫声シャウト」あたりでしょうか。
私はこの手の恐怖にはすっかり免疫がついてしまい、怖がるよりも先に笑ってしまうことのほうが多いのですが、ダメな人にはたまらなく怖いと思います。
そうそう、本編とは関係ないんですけど、有名どころの俳優が出演していないのが「ストーリーや演出に集中できるからいいよなあ」と感じました。
ホラー映画に有名俳優が出演していると、ついついその俳優にばかり目がいってしまうんですよね。

栗山千明がちょい役で登場します。今ではトップ女優の彼女もこの頃はまだまだ無名だったんですね。

由紀役の三輪ひとみさん(左)がキレイすぎてもう・・・(*´∀`)
低予算映画はこういう発見があるから楽しい。
作品オススメ度 ★★☆ 楽しめた
2作目:呪怨2
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監督・脚本/清水崇
音楽/ゲイリー芦屋
あらすじ
不動産会社を営む鈴木達也は、とあるいわくつきの物件が売れなくて困っていた。達也は心霊系の話に詳しい妹・響子にその物件が本当にいわくつきかどうかを確かめてもらおうとする。その物件とは、佐伯一家が住んでいた家であった。

レビュー
本編の最初30分がまんま前作のダイジェストという、ある意味衝撃的な映画です。上記あらすじに書いてあることは、実は前作ラストの出来事なんですよね。
「前作を見た人は30分飛ばしたらOK、前作を見ていない人はいきなりコチラから見ても大丈夫」といったところでしょうか。実質の本編は50分弱なので、前作と続けて見ても大して疲れないのがいいですね。
「話が少しずつつながっていく」のが面白かったオムニバス形式のストーリーも健在です。
では、感想。
前作での伽椰子&俊雄は佐伯家に関わった、もしくは佐伯家に入った人たちを呪い殺していくのが主な仕事でした。
でも本作の伽椰子&俊雄は、人を殺す&怖がらせることに味をしめたのか、佐伯家に関わった人だけではなく、その人とつながりがあるだけの無関係の人まで情け容赦なく呪い殺していくんですよね。
「呪いのビデオを見た人を殺す」という、リングのようなホラーではなく、「近づいた人はみんな殺す」という、見事なまでの無差別殺人っぷりは13日の金曜日や蝋人形の館に登場する殺人鬼のそれに近いですね。
「呪怨といいながら怨みがない人を殺すのってどうなんだ」とは思うのですが、達也の両親や達也の息子、事件を捜査していた刑事など、関係ない人たちを次々に怪死させていく流れはなかなか見ごたえがありました。

刑事さん、後ろ、後ろ!
達也の父親が襲われるシーンで「部屋の壁にかかっているご先祖様の肖像画がすべて伽椰子の写真に差し替えられている」のも芸が細かくて良かったです。

リングの犠牲者を思わせるような、殺された人たちの歪んだ変顔もお見事でした。
洋画よろしくのストレートな恐怖だけではなく、不気味な怖さも健在でした。その中でも、伽椰子に憑りつかれた主婦・北田良美がフライパンをフルスイングするシーンの殺伐とした感じが実際にありそうでとても怖かったです。

近所にいそうな感じの美人さ加減が何ともリアルでいいですね。ちなみに、右の郵便局員役の人はダンカン。
「股の下からババーンと登場」「影分身の術」など、伽椰子が私たち視聴者をいかに怖がらせるのかを頑張りすぎている感があるのが気にはなりますが、ホラーとコメディって紙一重な感じがするので、これはこれでアリかなあと。

窓からのそのそと入ってくる伽椰子さん。蹴り飛ばしたら勝てそうな気がしなくもないですね。

そんな短いスカート履いて四つん這いしたらパンツ見えちゃいますよ?
作品オススメ度 ★★☆ 楽しめた
出演者&登場人物
柳ユーレイ=小林俊介(1、2に出演)藤貴子=佐伯伽椰子(1、2)
小山僚太=佐伯俊雄(1、2)
松山タカシ=佐伯剛雄(1、2)
三輪ひとみ=由紀(1)
三輪明日美=村上柑菜(1)
吉行由実=村上典子(1)
栗山千明=瑞穂(1)
諏訪太郎=神尾刑事(1、2)
大家由祐子=鈴木響子(1、2)
芦川誠=鈴木達也(1、2)
郭 智博(かくともひろ)=鈴木信之(2)
藤井かほり=北田良美(1、2)
斎藤繭子=達也の不動産屋で事務員をしている女性(1、2)
おわりに
1作目は中途半端なところで終わります。見る場合は2作目とセットで見たほうがいいかもしれません。はじめの30分が1作目のダイジェストのため、いきなり2作目から見ても大丈夫です。
そうそう、1作目で詳細が不明だった村上典子の息子・強志(つよし)と娘・柑菜(かんな)の短編エピソードの動画がありました。
2つとも1998年にTVで放送されたスペシャルドラマ「学校の怪談G」で放映されていた短編エピソードです。このころにはもうすでに呪怨の構想ができていたんですね。
強志の話は「444-444-4444」、柑菜の話は「片隅(かたすみ)」です。1作目を鑑賞してから見るように〜。
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関連作品
呪怨1、2(劇場版)
着信アリ
女優霊
スペル おばあちゃんの呪い。
テケテケ1、2 上半身だけの女幽霊。
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サントラ |
サントラはビデオオリジナル版のものではなく、劇場版1、2のものです。
「おどろおどろした旋律が印象的だったビデオ版のテーマ曲」が29曲目に収録されていたので掲載してみました。(視聴可)
34曲目には、喉をつぶされた伽椰子独特の声も収録されています。つうか、この声が怖すぎるんですけど! (((;゚Д゚))