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LIFE!(ライフ)

「人生、なかなか思い通りにはいかないけれど、そこまで捨てたものじゃない」と思える、良作ロードムービー。

DVDジャケット
2013年/アメリカ/115分/ドラマ
原題/The Secret Life of Walter Mitty
監督/ベン・スティラー
音楽/シオドア・シャピロ
原作/ジェームズ・サーバー「虹をつかむ男」

あらすじ

アメリカ。ウォルターは、LIFE(ライフ)という写真雑誌会社の編集部でネガフィルム管理の仕事をしている、妄想が趣味のさえない男である。

ある日、ライフ社が他社に買収され、事業再編にともない、雑誌「LIFE」は次号をもって廃刊することになった。
「LIFE」を代表する写真家ショーン・オコンネルは、ウォルター宛てに写真のネガフィルムを送った。

しかし、ウォルターの元に届いたフィルムにはショーンが「LIFE誌最終号の表紙を飾るにふさわしい最高傑作だ」とする25番のネガのみが欠けていた。
早急に25番の写真を会社に提出しなければ、ウォルターはクビである。

ショーンにネガのありかを聞こうにも、彼は写真家であると同時に世界中を旅する冒険家で、連絡はおろか、どこにいるのかさえ分からない。
ウォルターはショーンを捜すため、残りのネガフィルムに写っていた映像を手がかりにグリーンランドへ向かう。

1

出演
ベン・スティラー=ウォルター・ミティ
クリスティン・ウィグ=シェリル・メルホフ
ショーン・ペン=ショーン・オコンネル
アダム・スコット=テッド・ヘンドリックス
パットン・オズワルド=トッド、キャスリン・ハーン=オデッサ、シャーリー・マクレーン=トッドの母

感想

「完璧で格好良い自分を妄想してはニヤけるのが趣味」のさえない主人公・ウォルターがとある写真家を捜していくうちにグリーンランド⇒アイスランド⇒ヒマラヤ山脈と世界中を飛び回り、妄想よりも妄想っぽい、現実の旅をしてしまうという映画。

ジャンルとしては、ロードムービーになるんですかね。最初は地味で平凡な男だった主人公が旅をするうちに少しずつ成長して・・・という感じの内容です。

個人的に大好きな映画「メリーに首ったけ」のベン・スティラーが主演ということと、本作の評判が良かったというだけでロクに調べもせずに鑑賞したのですが、これはかなり面白かったです。


良かったところ(3つ)
1.映画特有の現実離れした描写と「現実って、そんなに上手くいかないよね」というリアリティのバランスが良かった。
映画や小説では、登場人物にとって都合の良いこと(または悪いこと)がやたらと起こったり、結末が絵に描いたようなハッピーエンドだったりと、現実では起こりえない、フィクションだからこそ楽しめる描写がよくあるじゃないですか。

もちろん、それが悪いというわけではありません。現実では起こりえない、経験できないことだからこそ娯楽として楽しめる、という部分もありますしね。

ただ、こういったフィクションでしか起こりえない非現実的な描写があまりにも多いと親近感やリアリティがなく、見終わった後に「あー、面白かった」というだけで、心に何も残らないんですよね。

かといってあまりに現実的でリアルな内容になりすぎても、それはそれで面白くないですし。

本作はそういった「映画ならではのご都合主義な展開と現実のリアリティを感じさせるしょっぱい描写」のバランスが良かったです。

そのおかげもあってか、はじめこそ「しょせんは映画だよね」という傍観の姿勢で鑑賞していたのですが、見ているうちにいつの間にか、主人公のウォルターや本作の世界観にどっぷりと感情移入していました。

(といいますか前半は主人公の妄想が激しく、ギャグ描写が多いので、てっきりただのコメディかと思っていました)

<現実のリアリティを感じさせる描写の例>
・冒頭で主人公(40代半ばくらい?)が銀行口座の残高を見てため息をついている姿が哀愁を誘う。
・主人公が「eハーモニー」というパートナー探しのサイトで片思いしている同僚の女性・シェリルを見つけ、アプローチをしようとするも、WINK(ウインク。フェイスブックで言う「いいね!」のようなもの)を送るだけでかなり悩む。
・主人公が仕事の合間に母親の面倒を見ている、いい年してブラブラと遊びまわっているバカな妹に好き放題振り回される、など。何と言うか悲惨。
・シェリルはシェリルで「美人で仕事もできる完璧な女性」というわけではなく、バツイチで子持ち、ライフ社に入社して間がなくこれといった実績もないため、会社の事業再編にともない、まずリストラされるであろうという先行き不安な状態。
絵に描いたようなハッピーエンド、ではない。


<本作における、映画ならではのご都合主義な展開の例>
・主人公が海上数メートルの高さを飛行しているヘリコプターから極寒の海に飛び込み、直後にサメの襲撃にあうも、無傷で生還する。
・ガイドがいるとはいえ、大した登山経験もない主人公が標高数千メートルのヒマラヤ山脈を特に苦戦する様子もなく歩いている。
2.世界各地の映像がすこぶる美しい。
本作はストーリー上、主人公が世界各地を移動するのですが、各所で映る映像がとてもきれいでした。その中でも、特に印象に残ったシーンをいくつかご紹介。

2
グリーンランドの町並み。建物の色合いとやや曇ったような空がいい雰囲気。


3
グリーンランドの海をヘリで移動中。右にうつっているのは氷の塊です。空と海の色だけで寒そうなのが伝わってきます。


4
アイスランドの道路。標識や信号がないだけでこんなに開放感があるものなんですね。


5
道路をスケボーで移動中。ちなみに、主人公はスケボーが得意という設定。


6
ヒマラヤにて原住民と。


7
ヒマラヤの夕暮れ。大自然。


8
アメリカの夕暮れ。都会。


2a
飛行機の機内食。私の中では、機内食ってまずそうなイメージがあるのですが、写真で見るとおいしそうに見えるのが不思議。


映像も美しかったのですが、バックで流れる音楽(ボーカル有りの曲が多め)がそれぞれのシーンに合っていて良かったです。久しぶりにサントラが欲しいな、と思った映画でした。
3.ラスト30分の盛り上がりがすごい。
写真家ショーンの行方やネガフィルムの25番には何が写っているのか、ウォルターとシェリルの仲はどうなるのかなど、ラストの30分ではそれまでに引っ張ってきたいろいろなものが明らかになるのですが、ここでの盛り上がりがハンパなかったです。

特にショーンが「これが人生の神髄だと思う」と評するフィルム25番の写真を見たときには、それまでフィルムを捜して世界各地を旅してきたウォルターの姿もあいまって、「あかん、これは感動するやつや」と、久しぶりに映画で「うぉぉー、すげぇぇぇぇ!」という衝撃を受けました。(笑

感想まとめ ※ 以下、ややネタバレ有り

上の方でもチラっと触れているのですが、本作は絵に描いたようなハッピーエンドではありません。かといって、不幸な結末というわけでもありません。

主人公のウォルターは、会社をクビにならないために写真のネガを捜して世界各地を必死で飛び回るものの、それでも力及ばず、いくつかの大切なものを失います。ヒロインのシェリルも失うものがあり、決して幸せな結末ではありません。

ただ、2人とも失うものはあったけれど、得られるものもあり、ほんの少しだけ救いがある、といったホロ苦い終わり方をするんですね。

この「ハッピーエンドではないけれど、ものすごく不幸というわけでもない」という結末が本作の絶妙なところかなと思いました。

というのも私、現実の人生もそんなものなんじゃないのかなって思うんですよ。

上手くは言えないのですが、「どれだけ幸せなことがあったとしても、またはどれだけ不幸なことがあったとしても、映画はそこで終わりだけど、現実の人生はそうではなく、これから先も続いていく」というか。

それに、たとえ今が幸せであっても、それがずっと続くとは限りませんし、その逆も同じです。
また、たとえ今が幸せであっても、1つや2つくらいは嫌なことがあるでしょうし、たとえ今が不幸であっても、1つや2つくらいは楽しいことや良いことがあるでしょうしね。

だからこそ、ウォルターとシェリルは映画のラストで幸せか不幸かのどちらかではなく、そこから先も物語(人生)が続いていくような終わり方をしたのかなあと。

以上、ウダウダと長くなってしまいましたが、「人生って楽しいことよりも辛いことや嫌なことの方が多いし、自分の努力だけではどうにもならない理不尽なこともたくさんあるけれど、そんな毎日でも、たま〜にちょっとだけいいことがあったりするから、意外と悪くないよな」なんてことを再認識できた映画ですね。

ものすごく順調でもなく、ものすごく不調というわけでもない。でも、何か物足りない・・・そんなときに見ると良さそうな映画かな〜、とも思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。 (・∀・)


作品オススメ度 ★★★ おすすめ

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視聴可

私は字幕派なので気にもとめなかったのですが、レビューを読む限り、DVDの日本語吹き替え版は評判が悪いようです。


<原作について>
ウィキペディアによると、本作「LIFE!」はジェームズ・サーバーの小説「虹をつかむ男」を原作として1947年にダニー・ケイ主演で公開された映画「虹を掴む男」のリメイク作品だそうです。

印象に残った言葉いろいろ

本作で印象に残った言葉をいくつか。

・世界を見よう お互いを知ろう それが人生の目的だから
LIFE社のスローガン。響きの良い言葉ですね。
・主人公「別に体験談を書くほど、どこにも行っていないので」
序盤で主人公がパートナー探しのサイト「eハーモニー」の担当者に「自分のプロフィール欄に何か体験談を書いてよ」と言われてのひと言。

「何だこの主人公、本当につまんねえ男だなあ」と思ったものの、その直後に自分もここ数年大したところに行っていないことに気づき、愕然としました。ブーメランブーメラン
・美しいものは注目を嫌う
写真家ショーンの言葉。
美しいとはちょっと違うのですが、よくしゃべる人ほど話が面白くないとか、普段無口な人ほどしゃべってみると面白いとか、そんなことがよくあります。
みなさんの周りではどうですか?


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トップへ|ページ上部へ|投稿日:2015/10/17

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